なぜ会社が倒産するのか?その理由や原因について、元銀行員の視点でお話ししてみたいと思います。
まずこの動画で言う「倒産」という言葉について定義したいと思います。
倒産(とうさん)という言葉は、法律的に明確な定義はないのですが、一般的には会社が破綻して、通常支払わなければいけない債権を返済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になる状態のことを倒産と定義します。
つまり、会社として営業の継続が困難になっている状況となります。
この状況になると、従業員の解雇も、当然発生してきますのでこれから話す「会社が倒産する理由」は知っておいて損は無いかと思います。
皆さんのお勤めの会社でも当てはまる場合もあるかと思いますので「お勤めの会社で当てはまる理由は無いか?」という視点で観て頂くと良いと思います。
会社がやばいなというサインは簡単で、経理、財務の責任者や役員が突然辞めた場合は注意が必要です。
その会社で一番会社の経営状況を詳しく知っているのは、社長ではなく経理財務の責任者です。
ですので、会社の経営状況が悪いと「経理、財務の責任者や役員」は突然退職したります。
僕が銀行員の時には「経理・財務の責任者や役員が突然辞めた場合は、会社に何か良くないことが起きている」サインだと教えられました。
店舗型のビジネスに良くある理由ですが「人材の育成が急成長のスピードに間に合わず、サービスの質の低下を招き、結果客足が遠のき売上が減ってしまう」パターンです。
店舗型のビジネスだと多額の借入をしているので、借り入れの返済ができずに、資金繰りが回らなくなり急に倒産してしまうということもあります。
・飲食チェーン店
・エステサロン
・各種小売り業等々
何か一つの商材やサービスが急激に人気になってしまい、人材を採用したり、設備投資をしてしまった結果、人気が落ちてしまった際には反動も大きく売上が激減してしまい、資金繰りが回らなくなることがあります。
特にフロー型の売り切り型のサービスに良くあり、メーカーなどで起きやすい現象です。
最近だと、バーバリーというアパレルブランドのライセンスを借りて展開していた三陽商会さんが該当するのですが、バーバリーの三陽商会での売上が約半分を占めいました。
その半分の売上を占めていたバーバリーを販売できなくなってしまった三陽商会は大量に店舗の閉鎖と、従業員の希望退職者を募って、現在経営再建中です。
これは一般消費者向けのビジネスをしている企業ではなく、BtoBと言われる企業向けに商売を行っている企業にありがちな理由になります。
1回の取引が大きい企業では、自社のサービス商材の販売先が、特定の会社に偏っている場合、その販売先の企業の支払が遅れたり、倒産してしまったりすると、先に負担している経費が赤字になってしまいます。
会計上は黒字でも、実際にお金が振り込まれないと、企業の資金繰りが悪化して倒産に繋がるという事があります。
黒字倒産というやつです。
またその取引先との仕事が無くなってしまった場合には、売上の大半が見込めなくなってしまい、急遽新規のお客さんを見つけることができずに、倒産してしまうことがあります。
ですので、企業は自社の経営状況だけではなく、お客様の経営状態や取引関係によっても経営危機に陥ることもあります。
今まで通用していたビジネスモデルが、現代の時流と合わず、売上が徐々に減っていき結果として負債を抱えて事業を停止するパターンです。
このパターンは、急激に売上が下がるというものではなく徐々に売上が落ちてくることが多いです。
働いている従業員からすると、危機感を感じにくく経費の削減も遅れてしまったり「劇的にビジネスモデルを変えないといけない」ということに気づきずらいです。
また気付いた時には手遅れ、あるいは以前のビジネスモデルを引きずった変革しか行えず、中途半端な対策で力尽きてしまう会社が多いです。
このパターンは近年増えており特に昔一定の成功をおさめた企業で、且つ創業者の想いが強い会社は、過去の成功体験を引きずってしまうので、このパターンが多いんじゃないかと思います。
※実際に僕もそういう企業を目の当たりにしたことがあります。
よくあるのが、インターネットを活用することに遅れてしまい気付いた時には
「今までの販路では商品が売れなくなってしまった」
「国内の需要が減ってしまった」
「海外製品との競争が起き、販売単価を確保できなくなってしまい、十分な利益を確保できなくなってしまった」
「他社商品と差別化ができなくなってきた」などが該当します。
店舗や工場あるいは物流倉庫など、多額の借入を実施して設備投資を実施したけどその設備を有効的に活用できなかった。
そして当初見込んでいた効果が発揮できなくて、設備投資のために借り入れていた借金の返済に追われ、資金繰りが回らわなくなるということも良くあります。
また新規事業に多額のお金をつぎ込み、当てにしていたしていた新規事業がコケてしまう。
あるいは買収した企業が計画通り売り上げを確保できず、その投資原因で資金繰りが回らなくなる場合になります。
最近だと電気メーカーの東芝さんが多額のお金をつぎ込んで企業を買収した結果、経営危機に陥ったことは皆さんも記憶にあるかと思います。
現在は人手不足があちこちで起きているので、この人材の問題で会社が傾いてしまうリスクは今後増えてくるのではないかと思います。
例えば、有力な営業マンや社内のキーマンがライバル企業に転職、あるいは元従業員が起業してライバル企業となるなど、会社に多大な影響がでてしまいます。
今までと同様なビジネスができなくなってしまうとか、地方の中小企業に多いのですが会社を経営してくれる後継者が見つからなくて廃業するケースになります。
以上この6つが企業が傾いてしまう大きな理由になります。
もちろん1つの理由だけで、会社が倒産する訳ではなく、複数の要因が重なって倒産するのが実態です。
例えば売上が減り、過剰に設備投資していたことが原因で、経営状態がおかしくなる場合もあれば人材が流出して売上が減ってしまい、資金繰りが厳しくなることもあると思います。
企業が倒産する理由は細かく観ていくと多種多様ですが、大きく分類すると上記の6つの理由に別けられます。